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3. 基本的な操作方法

ここから、AVS/Express PCE による可視化例となります。

3.1. 利用できるデータ

AVS/Express PCEを利用する場合、まず、以下のデータの準備をする必要があります。 AVS/Express PCEで利用できるデータは、AVS/Expressと同様に大きく2つのデータ構造に対応しています。

3.1.1. Fieldデータフォーマット(構造格子型)

格子(メッシュ)で表現できるデータで、1次元から3次元のデータに対応しています。

各座標値とその格子数(IJK)で構成されます(格子が直交格子型の場合にも、必ず、両端点の座標値を指定する必要があります)。 差分法による解析結果などのデータに利用できます。

3.1.2. UCDデータフォーマット(非構造格子型)

要素(セル)で表現できるデータで、1次元から3次元のデータに対応しています。 ポイント、ライン、3角形、4角形、4面体、6面体などの要素で構成されるデータです。 各座標値とその要素タイプ、要素を構成する接続リストが必要です。 物性値はその頂点上、もしくは要素の中心に定義することができます。有限要素法などのデータに利用できます。

※データの保存方法について

AVS/Express PCEで可視化を行うデータは、各計算ノードから参照可能なディスク上に作成する必要があります。 その場合、全計算ノードのローカル・ディスクに同一名で保存するか、または、以下のように領域番号(ノード番号)を設定して、データを保存する必要があります。

領域番号(ノード番号)を設定してデータを保存する場合、「ファイル接頭辞」+「.領域番号(ノード番号):%04d.」+「ファイル拡張子」の形式でファイル名を設定します。

例)4部分領域のFieldデータを、計算ノード4台で可視化する場合

計算ノード①  sample.0001.fld (部分領域①のデータ)
計算ノード②  sample.0002.fld (部分領域②のデータ)
計算ノード③  sample.0003.fld (部分領域③のデータ)
計算ノード④  sample.0004.fld (部分領域④のデータ)

3.2. 基本操作手順

AVS/Express PCEでは、AVS/Expressと同様に、モジュールを組み合わせることでデータの可視化を行います。 モジュールの接続方法など、基本的な操作はAVS/Expressと同じですが、AVS/Express PCEで可視化処理を実行する場合、並列対応を行っている専用のモジュールを使用する必要があります。

  • AVS/ExpressPCE専用の並列対応モジュールは、特別なライブラリに登録され、全て、「***_PARA」 という名前が設定されています(例:Read_Field_PARA)。
  • 一般的にデータの可視化処理は以下のステップで行われます。

(1) データの入力
準備したデータを読み込みます。 Read_Field_PARAやRead_UCD_PARAなどの読み込みモジュールを利用します。

(2) データの加工
必要に応じて、可視化処理の前準備を行います。 例えば、複数のデータ成分から対象データを抜き出すextract_stalar_PARAモジュールや、ベクトル成分に対して大きさを計算するmagnitude_PARAモジュールなど、各種フィルタモジュールが準備されています。

(3) 形状の作成(可視化処理)
等数値面を作成するisosurface_PARAモジュールや断面を作成するslice_orthobox_PARAモジュールが準備されています。

(4) 可視化手法の選択
可視化手法を選択します。 ポリゴンモードと画像モードを選択することが可能です。

3.3. サンプルデータの可視化

サンプルデータを使った、簡単な可視化例を示します。 以下に記述するサンプルデータは4領域のデータです。 クラスタ情報ファイルを作成したのち、AVS/Express PCEを起動して下さい。

(1) 起動後、初期アプリケーション選択画面で「Default user_area」ボタンを押します。

(2) ライブラリページをMainからPARAに変更します。

(3) user_areaモジュール→ clusterモジュールの順番で、モジュールをダブルクリックし、モジュールの内部に移動します。

(4) 以下のモジュールをインスタンスし、下図に示す可視化ネットワークを作成して下さい。

モジュール ライブラリ 概要
Read_Field_PARA Data_IO_PARA Fieldデータの読み込み
bounds_PARA Mappers_PARA Fieldデータの領域枠(線・面)を作成
isosurface_PARA Mappers_PARA 等値面を作成

<モジュールの接続方法>
マウスの左ボタンをポート(モジュールの下の接続口)上で押したまま、接続するモジュールの方向に進めます。色が白く変わったら、マウスを放します。

<可視化手法の選択>
isosurface_PARAモジュールの出力ポートはout_Imageに接続されていますので、画像モードで可視化されます。 bounds_PARAモジュールの出力ポートはout_Polygonに接続されていますので、ポリゴンモードで可視化されます。

(5) データを読み込みます。 コントロール・パネル→「Editors」→「Modules」メニュー→「Read_Field_PARA」を選択すると、Read_Field_PARAモジュールのパラメータ設定画面が表示されます。 「Browse…」ボタンを押し、ファイル・ブラウザを表示して、/apps/t3/sles12sp2/isv/avs/express_pce84/sample/field/4node/lobster.fldを選択して下さい。

注意点として、「Browse…」の隣にある入力ボックスに/apps/t3/sles12sp2/isv/avs/express_pce84/sample/field/4node/lobster.fldと入力してもファイル名として認識されません。 必ずファイル・ブラウザを用いて、lobster.fldを選択し、OKボタンをクリックし確定してください。

なお、/apps/t3/sles12sp2/isv/avs/express_pce84/sample/field/4node/lobster.fldの実体ファイルは存在しません。 実際は、lobster.0001.fld~lobster.0004.fldが保存されており、これらは計算ノード4台で可視化するためのデータなのですが、AVS/Express PCE では、以下のような動作となります。

<制御ノード側>以下のように、存在しないファイル名を指定

/apps/t3/sles12sp2/isv/avs/express_pce84/sample/field/4node/lobster.fld

<計算ノード側>

指定された/usr/apps/isv/avs/express_pce8.0B/linux_64_el5/express_pce80/sample/field/4node/lobster.fldというファイル名から、自分自身のマシン番号と一致するファイルの検索を行い、自動的に自分自身の担当領域のデータを読み込みます。

計算ノード①→lobster.0001.fld を読み込む。
計算ノード②→lobster.0002.fld を読み込む。
計算ノード③→lobster.0003.fld を読み込む。
計算ノード④→lobster.0004.fld を読み込む。

AVS Express PCEでは上記のようなファイル名変換機能が組み込まれておりますので、該当ディレクトリ下に、lobster.fld(番号のついていないファイル)が存在しなくても問題はありません。

(6) 可視化処理を実行します。
コントロール・パネル上部にある「Calc_Start」ボタンを押して下さい。

PolygonViewに境界枠が表示されます。

(7) 可視化パラメータの変更

コントロール・パネル→「Modules」メニュー→「isosurface_PARA」を選択すると、isosurface_PARAモジュールのパラメータ設定画面が表示されます。 iso_levelスライダーに設定されている値を128に変更し、再度、「Calc_Start」ボタンを押して下さい。

Polygon Viewに境界枠、ImageViewに等値面が表示されます。PolygonViewはマウスで幾何変換することができます。 操作方法はAVS/Expressと同じです。 マウスで回転後、「Calc_Start」ボタンを押すことで、ImageViewの結果がその角度で更新されます。