6. 付録: 並列計算について

以下では、NastranのDMPパラレルについての説明を行います。

DMPでは問題を高いレベルで分割することによりパラレル化を達成しており、 分割のための種々の手法が用意されています. この章では、各分割手法の説明及び入力ファイルの作り方について説明します。

6.1. 領域分割

各分割手法について、それぞれ説明します。

  • 自由度領域分割
    自由度レベルで問題を分割します。 ただし、形状分割が難しい場合、自動モデル分割自体ができずに終了することがあります. 自由度領域は、モデルから全ての拘束が除去された後に残された自由度のセットとして 定義され、このセットにおいて領域分割が実行されます。
  • 形状領域分割
    形状領域分割ではその名の通り、節点コネクティビティに基づいてモデルを形状的に分割します。 まず、各区分がそれぞれ独立に解かれ、 次に形状境界における求解がなされます最も計算時間に影響を与えるのがモデル形状です。
  • 周波数領域分割
    周波数分割では、問題を周波数範囲を区分して分割し、 各周波数区分範囲でそれぞれ独立に解いています。 周波数ごとの結果が数学的に独立しているため、簡単にパラレル化が達成できます. 固有値解析の場合、周波数分割は各周波数の帯域で同じ固有値となるように自動分割されます. 自動分割は解析前の予測に基づくため偏りが生じることがあり、 一つのCPUプロセス計算終了待ちで、他のCPUが待たされることも考えられます。 周波数応答解析の場合、加振周波数を均等分割します。

6.2. 入力ファイルの作り方

DMPパラレルは、コマンドライン上でのdmp指定をすることで出来ます. また、入力ファイルにDOMAINSOLVERエグゼクティブ文を記述することで、 領域分割手法の選択等が可能となります. DOMAINSOLVERの詳細については『MD/MSC Nastran 2010 Quick Reference Guide P23 DOMAINSOLVER』にて 説明されているので、そちらもご参照下さい。

DOMAINSOLVER文の書式は次の通りです.

DOMAINSOLVER [ STAT | MODES | FREQ | ACMS ] [ ( PARTOPT = [ DOF | GRID | FREQ ], NUMDOM=int, upfact-real,
                                              TREE=[ SINGLE | MULTI ], ALLOC=[ STATIC | DYNAMIC ], PRINT=[ YES | NO ] ) ]

キーワードの意味は次の通りです

STAT  線形静解析
MODES 固有モード解析
FREQ  周波数応答解析
ACMS  自動部分モード合成法

パラメータの意味は次の通りです.

DOF 自由度領域
GRID  節点(形状)領域
FREQ  周波数領域

例えば、SOL101の場合は、次のような入力ファイルとなります.

SOL 101
DOMAINSOLVER STAT (PARTOPT=GRID)
CEND
・・・
ENDDATA

SOLによっては、選択できない領域分割手法があります. 例えば、SOL101は形状領域分割のみしか指定できません. また、DMP並列を行う際、DOMAINSOLVER文は必須ではなくオプショナルパラメータとなっております. DOMAINSOLVER文が無い場合は、各SOL毎にデフォルトの設定が自動的に適用されます. 例えば、SOL101の場合は、DMP MethodとしてSTAT、領域分割手法としてGRIDが適用されます.

各SOLごとにどの領域分割手法を選択できるか、各SOL毎の設定デフォルトは、 『MD Nastran Quick Reference Guide』の「DOMAINSOLVER」の項目をご確認下さい。

6.3. 並列計算の注意点

DMP法を用いて効果があるのは、規模が最大級で取り組みが困難な場合に限られます。 無闇に並列数を増やしても、逆に計算時間がかかる場合があります。