3. ANSYS Workbenchの基本的な使用方法¶
3.1. 概要¶
ここでは、ANSYS Workbench上でStatic Structural解析を行う場合を例として、Workbenchの基本的な使用方法について解説します。
ANSYS Workbenchを起動すると下記の画面が表示されます。
*本ページの画面は2024R1のものです。
Toolboxのリストから使用したいソフトウェアをダブルクリックすると、Project Schematicに解析システム(テーブル)が起動します。 下記はStatic Stracturalの解析システムを起動した画面です。
各項目のステータスは以下の通りです。
設定済み
記号 | 状態名 | 詳細 |
---|---|---|
![]() |
Unfulfilled | 上流にデータがない状態。上流のセルの操作が必要 |
![]() |
Attention Required | このセルに対し何らかの操作が必要な状態 |
![]() |
Reflesh Required | 上流のデータに変更があったため更新が必要な状態 |
![]() |
Update Required | 更新が未完了な状態 |
![]() |
Up to Date | 設定が完了した状態 |
セルがすべてUp To Dateの状態になるようにセルの上流からGeometry、Models、Setup、Solution、Resultsの順に操作を行っていきます。
Geometry Editerを開き、モデルを作成します。Geometry Editerとして以下が使用可能です。
Linux版: DesignModelerのみ
Windows版: DedignModeler, SpaceClaim direct Modeler
Geometryセルを右クリックし、New DesignModelerをクリックすると、DesignModelerが起動します。
モデルの作成が完了すると、GeometryステータスがUp to Dateになります。
この要領で、Model、Setup、Solution、Resultsの順に操作を行っていきます。
[View]-[Files]をクリックすると、作成されたファイルを確認できます。
3.2. 使用例(Fluent)¶
ここでは、流体解析(Fluent)を例に計算の進め方に関する概要を説明します。 その他の解析例はマニュアルをご参照ください。
3.2.1. 計算の流れ¶
モデル作成から、ジョブ実行、結果表示までの一連のフローは次の通りとなっています。
項目 | 使用するツール |
---|---|
ANSYS Workbenchの起動 | ANSYS Workbench |
流体解析システムの作成 | ANSYS Workbench |
流体解析モデルの構築 | ANSYS DesignModeler |
メッシュ作成 | ANSYS Meshing |
解析条件の設定・計算の実行・解析 | ANSYS Fluent |
3.2.2. ANSYS Workbenchの起動¶
ANSYS Workbenchを起動し、Toolboxビューワー(左ペイン)のField Flow (Fluent) をダブルクリックします。 すると、Project SchematicビューワーにField Flow (Fluent) というラベルの解析システム(テーブル)が表示されます。
3.2.3. 流体解析モデルの構築(DesignModeler)¶
流体解析モデルの構築を行います。
流体解析システムのGeometryを右クリックし、New DesignModeler Geometry... をクリックして ANSYS DesignModelerを起動します。
スケールの単位を設定します。
この例ではミリ単位のモデルを構築するため、[Units] - [Milimeter] を選択します。
形状を作成します。
まず、主管を作成します。
[Create]-[Primitives]-[Torus] を選択します。
トーラス(主管の曲線部分)が作成されます。Tree OutlineにはTorus1という項目が追加されます。
Detail Viewにおいて、以下を設定します。
Base Y Component : -1
Angle: 90
Inner Radius: 100
Outer Radius: 200
トーラスのセグメントを作成するには、Generateボタンをクリックします。
以下のように表示されます。
画面に収まりきらない場合は、Zoom to Fitボタンをクリックします。
次に、Extrudeボタンをクリックします。
Tree OutlineにExtrude1が追加され、Details ViewにDetails of Extrude1という項目が追加されます。
ボタン(Faces選択モード)を選択し、モデルの上部表面を選択してから、
Details View 内 Details of Extrude1のGeometryの[Apply]/[Cancel]選択ボタンのうち[Apply]をクリックします。
Geometryが「1 Face」となり、選択していた面が青色表示となります。
続いて、Direction Vectorの None (Normal) をクリックします。
[Apply]/[Cancel] ボタンが表示されます。
再びボタンをクリックしてFacesモードにし、もう一度モデルの上部表面を選択し、この状態で [Apply] をクリックします。
Direction Vectorの値が「Face Normal」と表示されます。
FD1, Depth (>0) に 200 と入力してをクリックします。
Geometryで選択した面からDirection Vectorで指定したベクトル方向に高さ200mmの円筒が追加されます。
Rotateボタンで回転させ、同様の操作でもう一方の面にも同じサイズの円筒を追加します。
次に、側管を作成します。
[Create]-[Primitives]-[Cylinder] を選択します。
Details Viewに追加される Details of Cylinder1の各項目の値を以下のように入力し、Generateをクリックします。
側管が作成されます。
対称性を考慮すると計算量を削減することができます。この設定を行います。
[Tools]-[Symmetry] を選択します。
Tree Outlineの XYPlane を選択します。
Details ViewのSymmetry Plane 1 の [Apply] をクリックします。Symmetry Plane 1の値が「XYPlane」となります。Generate をクリックします。
以下のように対称面が考慮されたモデルとなります。
形状を流体ボディとして指定します。
Tree Outlineの 1 Part, 1 Body > Solid を選択します。
Details ViewのBodyの値を「Solid」から「Fluid」に変更します。
Fluid/Solid の値を「Fluid」に変更します。
Generate をクリックします。
ANSYS DesignModeler を閉じます。
流体解析システムのGeometryセルのステータスが「?」からレ点に更新されていることを確認します。
3.2.4. メッシュの作成(ANSYS Meshing)¶
流体解析システムのMeshセルをダブルクリックするか、右クリックし [Edit] を選択します。
Geometryで作成した構造が自動的にロードされます。
Named Selectionを作成します。 対称性を考慮したモデルの場合はNamed Selectionを設定する必要があります。モデル構造の広い入口部分を選択します。すると選択した面が緑色に表示されます。
さらに今度は選択した面を右クリックし、[Create Named Selection] を選択します。
Selection Nameダイアログが開きます。ここで、テキストボックスを「Selection」から「velocity-inlet-large」に変更し、OKをクリックしてダイアログを閉じます。
velocity-inlet-large という名前の Named Selectionが作成されます。
同様の操作を他の開口部と対称面に対しても行います。
次に、流体ボディのNamed Selectionを作成します。
をクリックして選択フィルタをBodyに変更し、モデルをクリックして選択します。
さらにモデルを選択した状態で右クリックし、[Create Named Selection] を選択します。
Named Selectionダイアログのテキストボックスに「Fluid」と入力し、[OK] をクリックします。
次に、メッシュ生成パラメーターを設定します。
OutlineのProject/ModelのMeshを選択します。Outlineの下ペインにDetails of “Mesh” が表示されます。
Quaityを展開し、SmoothingをHighに変更します。
次に、OutlineでMeshが選択されている状態のまま、モデルを選択します。さらに右クリックし、[Insert]-[Sizing]を選択します。
Body Sizingを選択した状態でDetails of “Body Sizing” - SizingのDefinition > Element Sizeに 6e-3 と入力します。
今度はOutlineでMesh を選択し、Details of “Mesh” を表示します。
Infration > Use Automatic Inflation を Program Controlledに変更します。
OutlineでMeshを右クリックし、Updateを選択します。
メッシュが作成されます。
[File]-[Close Meshing] またはウィンドウのxボタンをクリックしてウィンドウを閉じ、Workbenchに戻ります。
Meshセルにチェックが入っていることを確認します。
3.2.5. CFD解析の設定¶
elbow流体解析システムのSetupセルをダブルクリックし、ANSYS Fluentを起動します。 Fluent Launcherダイアログが起動します。OptionsのDouble Precisionにチェックを入れ、[Start]をクリックします。
ANSYS Fluentが起動します。
[Domain]-[Mesh]-[Units] をクリックし、Set Unitsダイアログを開きます。
Quantitiesに「length」、Unitsに「mm」を選択し、[Close] をクリックします。
これでスケールがmmに変更されました。
[Domain]-[Mesh]-[Check]より、Meshの確認を行います。
ConsoleにMeshチェックの結果が表示されます。エラーが出力されなければ問題ありません。
次に、[Setting Up Domain]-[Mesh]-[Quality]をクリックします。
Meshの品質の検証が行われ、Consoleに結果が表示されます。
次に[Physics]-[Models]内のEnergyにチェックを入れます。
[Viscous]をクリックします。
k-omega (2 eqn) を選択し、[OK]をクリックします。
[Physics]-[Materials]-[Create/Edit]をクリックし、Create/Edit Materials ダイアログを開きます。
[Fluent Database]をクリックします。
[water-liquid (h2o <|>)]を選択して、[Copy]を実施後、[Close]でウィンドウを閉じます。
その後、Create/Edit Materials ダイアログも閉じます。
以下のウィンドウが表示されたら[No]をクリックします。
[Close]をクリックしてCreate/Edit Materialsウィンドウを閉じます。
Treeビューの Setup > Materials > Fluid > water-liquid が追加されていることを確認します。
[Physics]-[Zones]-[Cell Zones]をクリックします。
Task PageビューにCell Zone Conditionsが表示されます。
Fluidを選択し、[Edit]をクリックします。
Fluidダイアログが表示されます。
Material Nameをairからwater-liquidに変更し、[Apply]をクリックします。
[Zones]-[Boundaries]をクリックします。
Task PageビューにBoundary Conditionsが表示されます。
velocity-inlet-largeを選択し、[Edit]をクリックします。
Velocity Inletダイアログが表示されますので、下図のように設定します。
Velocity Specification Method: Magnitude, Normal to Boundary
Velocity Magnitude(m/s): 0.4
Spacification Method: Intensity and Hydrautic Diameter
Hydraulic Diameter (mm): 100
[Thermal]タブのTemperature (k)を 293.15に変更し、[Apply] [Close]をクリックしてVerocity Inletダイアログを閉じます。
同様にvelocity-inlet-smallに関しても設定を行います。 下図のように値を設定します。
同様にpressure-outletに関しても設定を行います。
3.2.6. 解析¶
[Solution]-[Solution]-[Methods]をクリックします。
Task PageにSolution Methodsが表示されます。
[Solution]-[Reports]-[Residuals]を選択します。
Residuals Monitorsダイアログが表示されます。 Plotにチェックが入っていることを確認します。その他はデフォルトのままOKをクリックします。
[Solution]-[Reports]-[Definitions]-[New]-[Surface Report]-[Facet Maaximum]を選択します。
Surface Report Definitionダイアログが表示されます。
Nameにtemp-outlet-0と入力します。
Report File及びReport Plotにチェックを入れます。
Frequencyを3に設定します。
Field VariableドロップダウンリストからTemperature及びStatic Temperatureを選択します。
Surfacesリストのうちpressure-outletを選択します。
Treeビューに以下の項目が追加されていることを確認します。
Solution > Report Definitions > temp-outlet-0
Solution > Monitors > Report Files > temp-outlet-0-rfile
Solution > Monitors > Report Plots > temp-outlet-0-rplot
Solution > Monitors > Report Files > temp-outlet-0-rfileをダブルクリックし、Edit Report Fileダイアログを開き、設定を確認します。
デフォルトのまま[OK]をクリックし、ダイアログを閉じます。
Solution > Monitors > Report Files > temp-outlet-0-rplotをダブルクリックし、Edit Report Plotダイアログを開き、設定を確認します。
デフォルトのまま[OK]をクリックし、ダイアログを閉じます。
[Solution]-[Initialization]において、Hybridを選択し[Initialize]をクリックします。
[Solution]-[Run Calclation]をクリックし、No. of iterationsに250を設定します。 [Calculate]をクリックして計算を実行します。
計算が完了すると以下のポップアップが出ます。
計算結果
3.2.7. ファイルの確認¶
ANSYS Workbenchによって生成されるファイルは、[View]-[Files]で確認できます。