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1. はじめに

本書は、AmberをTSUBAME4.0で利用する方法について説明しています。 また、TSUBAME4.0 を利用するにあたっては、「TSUBAME4.0利用の手引き」もご覧下さい。 利用環境や注意事項などが詳細に記述されております。
Amberの開発元ではAmberに関するWebページを公開しています。次のアドレスを参照してください。

https://ambermd.org/

また、コンフレックス株式会社のAmberのページは次の通りです。

https://www.conflex.co.jp/prod_amber.html

Info

TSUBAME4.0にインストール済みのAmberは、学内利用者および学術機関に所属する利用者に限り使用可能です。Amberの利用には別途アプリケーション利用料が必要になります。詳細は利用料の概略アプリケーション (TSUBAME4.0で一部有償化)をご覧下さい。
Amberのライセンス改定(2023.4.15)に伴い非営利、政府機関、学術機関のライセンス費用は0ドルとなっており、各自でAmber公式サイトのGetting AmberXX for non-commerical useからダウンロード & コンパイルしてご利用いただくことも可能です。
一方で、TSUBAME4.0のAmberにおいてはスパコンライセンスのため無償ではなく、サポート契約も行っております。そのため、TSUBAME4.0においてコンパイル済みのバイナリやサポートの利用を希望する場合はTSUBAME4.0ポータルのアプリケーション利用設定よりAmberの利用権を個別にご購入ください。

1.1. 利用できるバージョン

TSUBAME4で利用可能な最新バージョンについてはTSUBAME計算サービスWebサイトの サポートされているアプリケーション ページをご確認下さい。
研究に支障がない限り、バグ修正の入っている最新版をご利用下さい。

Info

開発元の提供方針変更に伴い、AmberTools 25以降はAmberの「GPU向け高速計算エンジン(pmemd)」機能が独立して管理されます。 これに伴い、TSUBAME上で利用する環境のバージョンを正確に把握できるようモジュールファイルのバージョン表記を以下のように変更します。

Due to changes in the developer's provisioning policy, starting with AmberTools 25, Amber's "Particle Mesh Ewald Molecular Dynamics (pmemd)" functionality will be managed independently.
Accordingly, to ensure the version of the environment used on TSUBAME can be accurately identified, the version notation in the module file will be changed as follows.

Ambertools version modulefile
Ambertools24 and earlier amber/[version]_ambertools[version]
Ambertools25 and later amber/pmemd[version]_ambertools[version]

1.2. 概要

Amberは本来タンパク質・核酸の分子動力学計算のために開発されたプログラムですが、最近では糖用のパラメータも開発され、化学・生物系の研究のために益々有用なツールとなってきました。ご自分の研究で利用する場合は、マニュアルや関連する論文等の使用例をよく調べて、Amberが採用しているモデルや理論の限界、応用範囲等を把握しておくことが必要です。現在、Amberはソースコードを無制限にコピーすることはできませんが、東京科学大内部で利用することは可能なので、これを基にさらに発展した手法を取り込むことも可能です。

Amberの主なプログラムを以下に示します。

1.2.1. モデル作成

LEaP
Amberの入力データの作成を簡便にするためのプログラムで、以下のprep、link、edit、parmの機能を備えています。

PREP
Amberのデータベースには20個のアミノ酸残基および核酸の構成ユニットに対するトポロジーファイルが予め用意されています。 このデータベースにユーザが作成したトポロジーファイルを読み込み、それを解釈し追加することが可能です。

LINK
AmberデータベースやPREPによって用意された残基トポロジーを使用して、分子の一次構造を決定するモジュールです。 たとえ分子がただ1つの残基で構成されている場合でも、このステップを通過する必要があります。

EDIT
EDITには以下に示す3つの機能があります。LINKで作成したトポロジーの残基-残基間の二面角を、PDB(Protein Data Bank)フォーマットに変換します。
LINKで作成されたファイルをCartesian座標などに変換します。 溶質分子の周りに水分子を配置することにより水溶液のシミュレーションの初期データを作成します。

PARM
分子力学パラメータ(平衡結合長、平衡結合角、力の定数、ファン・デル・ワールス力およびクーロン力など)を各自由度および原子対に割り当てるモジュールです。 自分の扱う分子のパラメータがAmberのオリジナルデータベースにない場合は、新規にパラメータを作成して(あるいはどこか別の力場から捜し出して)プログラムに教えてあげる必要があります。

1.2.2. 計算処理

SANDER

エネルギー極小化や分子動力学計算を行うモジュールです。後者では、周期境界条件、拘束動力学(SHAKE法)などが使えるのはもちろんのこと、アンサンブル(NVE, NVT, NPT)の指定も行えます。また、Amber 4.1からは、Ewald法を用いた計算が可能です。(水分子は電気的な永久双極子を持っているため、分子間の静電的相互作用は遠距離まで及びます。基本セルのサイズは、この相互作用をカットオフするにはあまりにも小さいため、何らかの工夫が必要となります。その一つがEwald法です。周期境界条件の下では、系全体を見ると基本セルの電荷分布を単位に、イオン結晶のように電荷が配列しています。Ewald法では、ポテンシャルエネルギーを基本セル内での誤差関数の和とフーリエ級数(逆格子空間での和)の二種類の項で表現し、イオン結晶でのポテンシャルエネルギーの和を効率よく計算しています)。 SANDERではこの他にNMR-NOEデータをリファインする機能がオプションとして用意されています。

PMEMD

sanderの計算速度を大幅に改良したものです。並列化効率も大きく向上しています。 Xeon PhiやGPUがサポートされています。

GIBBS

2つの状態間の自由エネルギー差を計算するモジュールです。自由エネルギー摂動法(Free Energy Perturbation)を初めとする5つのオプションが用意されています。

NMODE

エネルギーの核座標に関する一次、二次微分の計算から遷移状態の探索や基準振動解析を行うモジュールです。

ROAR

機能を拡張した"Penn State"版のsanderです。主な拡張は、システムの一部を量子力学的に定義することができる点です。その他、Nose-Hooverの連鎖MD積分法、Ewald法、multiple-time-scale積分法を導入しています。

その他
データ解析のためのモジュールANAL、CARNAL、RDPARM、NMANAL/LMANAL等があります。Amberの主なモジュールは上記の通りですが、各モジュールを実行するためには様々な計算条件パラメータ(例えばセルの大きさ、クーロン力のカットオフ距離、シミュレーション時間等)や計算ルートを決めるオプションを指定しなければなりません。 これらについてはマニュアルや、Amberに関する研究論文を参照して下さい。

1.3. マニュアル

Amber Reference Manuals (ambermd.org)