3. ABAQUSの計算の流れ

3.1. 計算の流れ

3.1.1. 解析手順概要

ABAQUSの計算の流れは、下図に示す通りです。

前処理,シミュレーション,後処理の順の流れとなります。

3.1.2. 例題を通して作業手順を確認

次に、以下に沿って実際に使ってみます。本来、解析用の入力ファイルをABAQUS/CAE,Patranなどのソフトウェアを用いるなどして作成する必要がありますが、ここでは既に作成済みの例題ファイルを用います。

3.1.2.1. 例題ファイルの呼び出し

ABAQUSには、豊富な例題が圧縮形式(zip形式)で用意されています。 これを、ABAQUS/Fetchコマンドで簡単に呼び出すことができます。 実行方法とか、どのようなファイルができるのか確認します。次の手順でコマンドを実行してください。

#作業用のディレクトリを作成
$ mkdir abaqus
#作成した作業用ディレクトリに移動
$ cd abaqus
#例題の呼び出し
$ abaqus fetch job=barrelvault_s8r5_reg44

次のメッセージが出力されます。

Abaqus FETCH job barrelvault_s8r5_reg44
  inflating: barrelvault_s8r5_reg44.inp

barrelvault_s8r5_reg44.inp というファイルが作業ディレクトリの下に 作成されていることをlsコマンドで確認して下さい。

ls -l

次のメッセージが出力されます。

-rw-r--r--  1 tsubame-users tsubame-users  880 Sep 27  1999 barrelvault_s8r5_reg44.inp

これがABAQUS/Standardの入力ファイル(拡張子が.inp)です。 ABAQUS/Fetchコマンドで呼び出した時下記のように、 readパーミッションのみ許可されているものが時々あります。 これでは書き込みができません。

-r--------  1 tsubame-users tsubame-users  880 Sep 27  1999 barrelvault_s8r5_reg44.inp

書き込みができない場合、chmodコマンドでパーミッションを 変更します(ユーザに対して書き込み許可を与える)。

$ chmod u+w barrelvault_s8r5_reg44.inp

再度lsコマンドで確認して下さい。

-rw-------  1 tsubame-users tsubame-users  880 Sep 27  1999 barrelvault_s8r5_reg44.inp

3.1.2.2. 例題ファイルの確認

では、cat コマンドでファイルの内容を確認してみましょう。

$ cat barrelvault_s8r5_reg44.inp
*HEADING
  BARREL VAULT 4 X 4 MESH S8R5           
*PREPRINT,ECHO=YES,MODEL=NO,HISTORY=NO
*NODE,SYSTEM=C,NSET=CORNER
 1,300.,0.,0.,
 9,300.,,300.
 81,300.,40.,
 89,300.,40.,300.
*NGEN,LINE=C,NSET=WALL
 1,81,10
*NGEN,LINE=C,NSET=SYMM
 9,89,10,,,,300.
*NFILL
WALL,SYMM,8,1
*NSET,NSET=APEX,GENERATE
1,9,1
*ELEMENT,TYPE=S8R5,ELSET=ROOF1
 1,1,21,23,3,11,22,13,2
*ELGEN,ELSET=ROOF
 1,4,20,4, 4,2,1
*ELSET,ELSET=FEW
 1,2,3,4
*MATERIAL,NAME=STEEL
*ELASTIC
 3.E6,
*BOUNDARY
 APEX,YSYMM
 SYMM,ZSYMM
 WALL,1,2
*SHELL SECTION ,ELSET=ROOF,MATERIAL=STEEL
 3.0,3
*RESTART,WRITE,FREQUENCY=999
*STEP
 SELF-WEIGHT
*STATIC
*DLOAD
 ROOF,BX,-0.20833
*ENERGY PRINT
*EL PRINT,ELSET=FEW
S,
SINV,
SF,
E,
ENER,
*EL PRINT,POSITION=AVERAGED AT NODES
S,E
*EL FILE,ELSET=ROOF1
S,
SINV,
E,
*EL FILE,POSITION=AVERAGED AT NODES,ELSET=ROOF1
S,
E,
*NODE FILE,NSET=CORNER
U,
CF,
*ENERGY FILE
*END STEP

ここでは、詳しいデータ説明は避けます。 ABAQUS/Standardの入力データは、モデルを定義する為のデータと履歴を定義する為のデータから構成されていることを理解して下さい。

3.1.2.3. 例題ファイルを用いて計算実行

次に、この入力ファイルを使って、ABAQUS/Standardを実行します。

$ abaqus job=barrelvault_s8r5_reg44

と実行してみて下さい。

「barrelvault_s8r5_reg44.log」というファイルが作成されます。 下記内容がそのファイルに出力され、「AbaqusJOBbarrelvault_s8r5_reg44COMPLETED」というメッセージが出力されたら、計算が正常終了したことになります。 この入力ファイルの場合、5秒程度で計算が終了します。

$ cat barrelvault_s8r5_reg44.log
Analysis initiated from SIMULIA established products
Abaqus JOB barrelvault_s8r5_reg44
Abaqus 3DEXPERIENCE R2017x
Successfully checked out QSD/50 from DSLS server remote
Successfully checked out QXT/50 from DSLS server t3ldap1
Abaqus License Manager checked out the following licenses:
Abaqus/Standard checked out 50 tokens from DSLS server t3ldap1.
<391 out of 500 licenses remain available>.
Begin Analysis Input File Processor
Tue 19 Sep 2017 04:06:03 PM JST
Run pre
Tue 19 Sep 2017 04:06:05 PM JST
End Analysis Input File Processor
Begin Abaqus/Standard Analysis
Tue 19 Sep 2017 04:06:05 PM JST
Run standard
Tue 19 Sep 2017 04:06:07 PM JST
End Abaqus/Standard Analysis
Begin MFS->SFS and SIM cleanup
Tue 19 Sep 2017 04:06:07 PM JST
Run SMASimUtility
Tue 19 Sep 2017 04:06:07 PM JST
End MFS->SFS and SIM cleanup
Abaqus JOB barrelvault_s8r5_reg44 COMPLETED

実行したディレクトリの下にファイルが作成されます。これらがABAQUS/Standardの結果と実行経過の記録です。.fil, .mdl, .obd, .res, .stt以外はテキストファイルです。

$ ls -la
total 8360
drwxr-xr-x 2 hpe_user00 tsubame-users     4096 Sep 19 16:06 .
drwxr-xr-x 6 hpe_user00 tsubame-users      512 Sep 19 16:03 ..
-rw-r--r-- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00   8896 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44.023
-rw-r--r-- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00   8588 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44.1.SMABulk
-rw-r--r-- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00 786408 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44.1.SMAFocus
-rw-r--r-- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00     19 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44.cid
-rwxr--r-- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00   2070 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44.com
-rw-r--r-- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00   7762 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44.dat
-rw-r--r-- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00    880 Sep 27  1999 barrelvault_s8r5_reg44.inp
-rw-r--r-- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00     57 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44.lck
-rwxr-xr-x 1 hpe_user00 tga-hpe_group00    470 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44.log
-rw-r--r-- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00 419044 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44.mdl
-rw-r--r-- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00 162912 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44.odb
-rw-r----- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00  60316 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44.odb_f
-rw-r--r-- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00  32768 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44.res
-rw-r--r-- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00    253 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44_sfd.tmp
-rw-r--r-- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00    241 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44.sim
-rw-r--r-- 1 hpe_user00 tga-hpe_group00 715204 Sep 19 16:06 barrelvault_s8r5_reg44.stt

barrelvault_s8r5_reg44.datに計算結果が出力されているので内容を見てみましょう。
上記の2つはPattern not found (press RETURN)が返されることを確認してください。

$ less barrelvault_s8r5_reg44.dat
/WARN            ← WARNINGメッセージがないことを確認して下さい。
/***ERROR        ← ERRORメッセージがないことを確認して下さい。
/NODE            ← "NODE"を検索する。変位結果が出力されています。
/ELEM            ← "ELEM"を検索する。応力結果が出力されています。

以上がABAQUSに用意されている例題を呼び出して実行する方法です。 さらに、Examples Problems Manual、Verification Manualに記載されている例題も、ABAQUS/Fetchコマンドで呼び出して実行することができます。 ABAQUS/Fetchコマンドで呼び出すときには、バージョンに応じたマニュアルで例題名を確認してください。

計算結果のグラフィックス表示(変形図・等応力線図やいろいろなX-Yプロット、動画表示など)はABAQUS/CAEまたはMSC/Patranで行うことができます。

3.2. ファイル拡張子の規約

ABAQUSで、主に使用される拡張子について述べます。

拡張子 説明
.inp 入力ファイル
.dat 計算結果出力ファイル(Standard. Explicitでは計算結果は出力されません)
.msg メッセージファイル
.sta ステータスファイル
.fil 結果ファイル(Standard)
.res リスタートファイル
.sel 選択結果ファイル(Explicit)
.abq ステートファイル(リスタート情報を含みます。Explicit)
.odb データベースファイル

3.3. ABAQUS/ユーティリティ

ABAQUS/ユーティリティについて述べます。

項目 説明
ABAQUS/help 実行コマンドの構文サマリを出力します。
ABAQUS/information ジョブに影響を与える環境とインストールに関する情報をプリントします。
ABAQUS/Ascfil 結果ファイル(.fil)をASCIIフォーマットに変換します。
ABAQUS/Append 2つの結果ファイルを1つの結果ファイルに結合します。
ABAQUS/Fetch 圧縮されたアーカイブファイルから個々のサンプル入力ファイルを抽出します。
ABAQUS/Make ユーザの作成した後処理プログラムをコンパイルし、ABAQUSのサブルーチン・ライブラリとリンクします。
ABAQUS/doc ABAQUS/Standard及びABAQUS/Explicitのドキュメントを表示します。
ABAQUS/findkeyword 指定したABAQUSのオプションの組合せを使用している例題や検証問題のリストアップリストを表示します。
ABAQUS/convert ABAQUS/ExplicitのファイルをABAQUS/Standardの形式のファイルに変換します。